できる限り壊さない改装計画
『できる限り壊さない改装計画』
ペリカンビルから車で5分の場所で住まいの改装工事をしています。
ビルによく足を運んで下さる知り合いが依頼者です。
平成元年に建てられたペリカンビルとほぼ同じ年の住居は使ってある建材も似ています。
当時は今ほど全てが新建材というわけではありませんが、本物の材料と新建材、既製品とべニアと無垢材が混在しています。
できる限りゴミを出さずに工夫するモノづくりを理想としています。
古材はとても格好がいいのですが、既製品の新建材(何とも中途半端)を活用することにも意味があると思っています。
今回の相談の入り口はこのドアでした。
ビルの2階にあるこのドア。右の黒いドアは新しくつくって色を塗りました。左のドアは現在入居しているLABRUMさんがもともとあった30年前からあるドアに色を塗っています。家のドアもこんな雰囲気にしたいという相談から始まりました。
このドアをいいと思ってもらえたきっかけもあり「できる限り壊さない改装計画」を提案しました。
先ずは図面とにらめっこ。
動かす壁、落とす天井を最小限に、再利用できる建具や床を最大限に活用する計画を練りました。空間のデザインだけでなく快適になる提案も忘れずに。
あたたかい床にしたいなとのご要望から床暖房の希望もあり色々と検討しましたが、今の床を下地に無垢の床を重ねて貼るとの答えをお互いに出しました。
無垢の床板のヘリンボーン仕上げ。とても楽しみです。
新しいものは気持ちがいいですし、とても格好いいです。
しかし、いままでの記憶や家族の時間を全てリセットしてしまわなくてもよい選択があってもいいのかなと思います。
新しい思いどおりの空間での気持ちよさと同じくらい、ペリカンビルでの暮らしでも捨てなかった、壊さなかったという心の清々しさはあります(不便さはありますが、、、)。
新しい床板を貼る下地に役割を変えた床には「これからもよろしくおねがいします」とご家族全員の名前と共に書かれていました。
「これからもよろしくおねがいします」
いままでありがとうさようならではなかった。
できる限り壊さない改装計画をおすすめしてよかったなと思っています。
本格的に工事が始まっているので日々緊張感とともに新しく生まれ変わる空間をつくれる喜びがあります。
最後は工事前の写真です。すでに懐かしいです。