漆喰シーサーはアップサイクル?
『漆喰シーサーはアップサイクル?』
石垣島滞在3日目。雨。甲子園決勝。
雨ふり、地元で人気というパン屋さんでお昼を仕入れて、海岸線を島北部の井上シーサー工房さんへ。
なんと、昨年不動産売買をした場所から車で5分という場所でした。
このあたりは静かで海もきれいです(生活と自然のバランスがよく移住するならぜひおすすめのエリアです)。
工房へはガイドブックの写真が気になり行くことを決めたので、事前情報なし。
シーサーを玄関に置きたいなと思っていましたが、シーサーは一体でいいのか、対で2体置くのかという初歩的なことも知りませんでした。
前日、竹富島で屋根シーサーの所以は聞きました。屋根職人が仕事の終わりにお礼を兼ねてつくっていたそうで、シーサーを見ると誰がつくった屋根か分かるそうです。
屋根には1体だしなー、門には2体いるしなーと答えは分からず。
雨が降る中、お店に着くと(中心部から車で約40分)、お店の中には迫力あるシーサー数体と漆喰のミニシーサーが机の上に。井上さんはお店の奥で手を動かしてみえました。「今在庫がほとんどないのでお店にあるだけです。すみません。」と一言。
職人さんの手を止めるのは申し訳ないなと思いましたが、話しかけると手を止めてとても丁寧にシーサーのことを教えて頂けました。
焼き物のシーサーが多くなった今でも、古い赤瓦を骨組みに漆喰を塗り重ねてつくる本来の作り方を継いでいこうと考えていらっしゃること、使っている赤瓦は島内の築100年の家から譲り受けたものだということ、そしてシーサーは本来1体だというお話を伺いました(疑問解決)。
なんと、伺った日はシーサーの日(4月3日)だとも教えて頂きました。
店内は飾らず清潔感があり、井上さんのお人柄がよく伝わってきます。
「長く大切にしてください」とのことばがとても印象に残りました。
帰宅後に家に届いた段ボールの中はこれでもかというくらいの詰め物。
重ねて大切にしてくださいよと言われているかのようです。
そして入っていた名刺にもさらに『大切にしてください』と直筆のメッセージ。
タイセツニシマス。
民芸というのは本当にその地域のことが勉強になります。
大陸に近いからこそライオンのモチーフが伝来したのかなとか、自然環境が厳しいからこその魔除けなんだろうとか、漆喰はサンゴの石灰が成分かなとか。
考えていると面白いです。
頂いたメールによると井上さんの工房は築60年の建物を自分でゆっくり修理しながら使っているとのこと。古い建物を壊さず利用し、作品は家としての役割を終えた瓦の「アップサイクル」と自分たちが大切にしている考え方とぴったり。
とてもよいシーサーと出会えました。
大切にします。