『庭が好きになるにわ』
お庭を何とかしたい。
「何とかしたい理由」は、日々の草取り、大きくなり過ぎて手に負えない樹木などネガティブな動機が大多数なのではないでしょうか。
実際に街を歩いていても、お庭の管理で苦労されている方の多いこと多いこと。
依頼者は子育てが終わり、庭で遊ぶこともなくなり、夏の草抜きと生垣(カイヅカイブキなど)の剪定に頭を悩ましている方でした。
「樹木はなし。コンクリートにしてしまいたい」というさっぱりとしたご要望。
これは大変です。
庭に対して相当アレルギーを持っていらっしゃる。
庭と畑を持つ者としてお気持ちは十分理解できます。
お休みの度に草抜きや除草剤を撒くのはあまり楽しい作業ではありません。
しかし、私たちは「植物」がもつ魅力も同じくらい知っています。
建築だけにとどまらず、人にもよい影響を与える力が「植物」にはあります。
植物と決別したいと思った方にもう一度魅力をお伝えしようというのが私と庭師とのミッションでした。
草が生える土の部分は最小限にし、落ち葉や虫のことも考慮しながら、樹種と配置を慎重に選びました。
管理は容易にし、それ以上に植物の持つ魅力をできる限りお伝えしました。
庭師が年間管理で樹木の世話をしていくこともお伝えしました。
樹木のデザインと同時に進めたのが庭の役割の再設定です。
カーテンを閉めなくてもよいように目隠しの格子を配置し、庭に出て外で作業できるように周囲の家からの視線をカットしました。
開放的にするために目隠しをしっかり作り、プライベートな空間を作ることができました。
建物の色や雰囲気と調和するように丁寧に色や素材を選び、壊す部分は最小限にし、もとの素材が持つ魅力を引き出すようにデザインしました。
庭をしっかりとデザインすることで、家も暮らしも変えることができるんです。
(改造前)

シェードを用いての目隠し
(改造後)

格子は目隠しなるだけでなくアプローチを引き立ててくれました。
(改造前)
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玄関へのアプローチとリビングの窓の視線が交差してしまっている状態を改善
(改造後)
-300x181.jpg)
風と光はほどよく通り、隙間から木々が揺れるのが見える
夏場の完成のため、完成後は毎日「水やり」をお願いしました。
一緒に選んだ樹木への水やりは想像以上に楽しかったそうです。
仕事からの帰り道が楽しみになったり、朝玄関ドアを開けたときに感じる気持ちよさはいままでなかった感覚だそうで、庭が好きになりましたとうれしい報告まで。
庭の改造は見た目だけでなく、毎日の暮らしが少し変わります。
家の外にでるようになり、水やりや手入れを楽しめるようになり、季節の植物を室内に飾れることが楽しみになる。
何気ない日常にちょっとした潤いを与えてくれる力を持っています。
植物に感謝。当初の希望を変更して植物を迎え入れて下ったお客様に感謝です。
ギャラリー
- 部屋の中から格子の隙間で揺れる植栽が見えるように配置しました。日々の暮らしの中で季節を感じられるのは幸せです。
- 実は玄関正面の石は後から追加オーダーです。階段のルートと最短距離と2ルートで使用中です。
- 格子と同じく目隠しすることで開放的になるという提案です。フェンスの高さなどは現場中もしっかりと確認しました。
- 樹木以外の部分は砂利を使用して日々の手入れが楽になるようにしました。
- もともと庭先にあったベンチを削って、焼いて、柿渋を塗りました。壊さない、捨てないコンセプトを大切にしています。
- 目隠しすることで、逆に開放感を得ることができます。植栽を組み合わせることで庭に奥行きがでました。
- もともと家が持っていた雰囲気に合わせて石の階段をデザインしました。とても馴染んでくれたと思います。
- 駐車場を1台から3台に増やしました。駐車場と作業スペースと庭と複数の役割を与えました。
- 夕方の時間帯。帰宅するときに出迎えてくれるような庭となったと思います。
- リビングから外に出ないのであればと思い切ってクローズすることで得られるメリットを選択しました。
- カーポートを連結して大きく取ることで夏は日陰の作業スペースに。雨降りでも片付けや道具の手入れができます。
- 斜めからの視線が気にならないように奥行のある格子を設置しました。